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老人ホーム、老人用施設の値上げ問題
令和3年11月24日更新
●引用
2021年8月の改定で、介護費用負担額「最大10万円増」の悲嘆
2021/9/4(土) 8:01配信
親御さんが倒れたら、介護にはどのくらいの期間とお金がかかるのでしょうか。また、誰がメインで介護をするものなのでしょうか。介護事業を運営する、株式会社アテンド・代表取締役の河北美紀氏が、データを用いて解説します。※本記事は、書籍『身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本』(実務教育出版)より抜粋・再編集したものです。
介護にかかる「期間、費用の平均」をチェック
[図表1]疾患が原因の平均介護期間 出典:(公財)生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年度)
ここに、何らかの疾患を発病してから在宅介護になった場合の、施設介護を経て最期を迎えるまでの「全介護期間」のデータがあります[図表1]。これによれば、全体の介護期間は平均54.5ヵ月(約4年7ヵ月)で、脳血管障害は平均69.14ヵ月、認知症は平均48.91ヵ月です。
在宅介護の期間は、介護を始めて3ヵ月までは84.3%と高く、最初の3ヵ月を過ぎてからは70.9%、介護終了までの約3ヵ月間は52.9%という結果となっています[図表2]。
平成30年度のアンケート調査によると、実際にかかる介護費用の月額平均は7.8万円でした。また、介護生活を始める際にかかる一時的な介護費用(リフォームを含む住宅改修や介護ベッドの購入など)は平均69万円という結果が出ています。月額の具体的な介護費用の項目は、下記の通りとなっています。
<おもな介護費用の例>※1
●介護サービス利用料
●施設入所の場合は居住費、食費
●おむつなどの衛生用品
●医療費
●健康保険、介護保険料
●その他住民税など
※1 出典:(公財)生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年度)
民法には「兄弟姉妹全員に扶養義務あり」とあるが…
介護費用を出す人 出典:第一生命保険会社「親の介護に関するアンケート調査」
調査の結果(複数回答可)によれば、介護費用の多くは要介護者自身またはその配偶者が支払っています。著者も例にもれず、父親の介護費用は父自身の公的年金と預金からまかなっていました。
次いで多いのが、子どもの就労収入またはその配偶者からという回答です。また、10位以内に「要介護者が加入している民間の介護保険」という回答が上がったことから、介護費用に備える意識の高まりが見てとれます。
民法877条では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と規定されています。皆さんも、おそらく「親の介護は、子どもがするのは当たり前」と思っているのではないでしょうか。たしかに、法的に見ても子どもには親の介護をする義務があるといえます。
しかし、実は介護は強制的なものではありません。民法877条では「生活を支え合う義務」とされており、「身体的な」介護の定めはありません。つまり、経済的なサポートを行うことで義務を果たすことができるといえます。
しかし、義務であるにもかかわらず経済的なサポートも怠った場合、介護放棄とみなされ、刑事罰の対象になる場合があります。具体的には、「生存に必要な保護をしなかったために、親(要介護者)が死亡、あるいは傷害を負わせる」などです。
兄弟がいるにもかかわらず、キーパーソン※2だけが身体的介護の他に金銭的援助(通いの交通費を含む)まで行っているケースを見かけます。覚えておいていただきたいのは、兄弟姉妹全員に、扶養(親が生きるために必要な経済的なサポートをする)義務があることです。
※2 介護の専門職と連携をとったり、介護サービスや医療処置に関する判断を行う役割を担う人
しかしながら、自分の生活に余裕がない、働くことができないなど、自身や家族との生活に余裕がない場合はこのかぎりではありません。それぞれが抱える事情を考えて、金銭的援助の負担割合を話し合いましょう。もしトラブルになる可能性があるなら、弁護士などの第三者を入れることも大切です。
できることなら、親が倒れてからではなく、親が元気なうちにキーパーソンを誰にするかを話し合い、そして早くから介護にかかるお金の準備をしておくことをおすすめします。
「高額介護サービス費支給制度」市区町村へ確認を!
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[図表3]高額介護サービス費の見直し
介護保険では、所得に応じて自己負担額の上限が決められています。たとえば、両親が自身で介護サービスを利用して自己負担金を支払った際、「父親の自己負担額だけでは上限額に達しないものの、母親の自己負担額を合計すると、世帯における合計額を超える」ということもあります。その場合、それぞれにあん分された金額が支給されることになります。制度を利用する際は、市区町村から送られてくる支給申請書の提出が必要になります。詳しくは、お住まいの市区町村へ確認してみましょう。
<支給対象とならないもの>
●福祉用具購入費や住宅改修費の自己負担分
●施設サービスの食費、居住費や日常生活費など
2021年8月、「介護保険」の自己負担限度額が上がりました[図表3][図表4]。医療費の自己負担限度額に合わせた改定となり、「現役並み所得」(現役レベルの収入がある層)の限度額がより細分化されます。今後も自己負担額の上昇が見込まれるため、医療費・介護費の減額制度をしっかり活用しましょう。市区町村から送られてくる支給申請書の提出や、制度の利用に関する確認を、面倒がらずに行いましょう。
同一世帯で、1年間に支払った「医療費」と「介護保険サービス費」の自己負担額の合計が基準額を超えた場合は、所得に応じて自己負担額が減額されます。
●対象期間:毎年8月1日〜翌年7月31日までにかかった自己負担額
●対象者:国民健康保険・後期高齢者医療・被用者保険の加入者
市区町村によっては、案内を送ってくれるところもあります。ただし該当する期間中に医療保険が変わった人については、案内が届かない可能性もありますので、医療保険者や市区町村の担当窓口に確認することをおすすめします。
河北 美紀
株式会社アテンド 代表取締役
河北 美紀
●補足給付とは
2021/11/23 21:23
特別養護老人ホームなどで暮らす低所得者に対し食費と居住費を助成する制度。食費と居住費は2000年の介護保険創設時には保険給付の対象だったが、在宅の高齢者との公平性を保つため05年に自己負担となったため導入された。ショートステイの利用者も対象となる。21年8月から、一定額以上の収入や預貯金のある人の負担額が見直された。
●特養の月額利用料2万2千円も上がった…「あまりに負担重い」 なぜ今?
2021/11/24(水) 8:32配信
中国新聞デジタル
男性の母が入所する特別養護老人ホームの利用料領収書。8月以降、食費の負担額が倍増した(画像の一部を修整しています)
「特別養護老人ホームで暮らす母の月額利用料が急に2万2千円も上がった。なぜ今」―。広島市安佐南区のタクシー運転手の男性(53)から編集局に戸惑いの声が寄せられた。8月に介護保険制度の変更があり、所得の低い人向けの食費・居住費の補助が縮小されたという。「あまりに負担が重い」。制度見直しが一部の高齢者の暮らしを直撃している。
【グラフ】差し押さえ高齢者、初の2万人超 介護保険料滞納で過去最多
9月下旬、男性は認知症の母(81)が入所する施設の利用料領収書に目を見開いた。8月が3万2120円だったのに対し、9月は5万4130円と1・7倍になっていた。
▼1日の食費が650円から1360円に
介護施設での食費や居住費は原則自己負担だ。しかし男性の母は、住民税非課税世帯を対象に食費と居住費を軽減する「補足給付」を利用してきた。収入などに応じて負担限度額を決める制度で、8月に基準が改定された。年金などの収入が120万円を超える人は、1日の食費が650円から1360円に上がった。
男性は「自分も新型コロナウイルス禍で収入が減り家計を切り詰めていたところ。なぜ今、という思いが拭えない」と嘆く。
今回の改正では、要件の一つである預貯金などの上限も引き下げられた。これまでは収入にかかわらず単身世帯では預貯金などが1千万円以下の人が対象だった。改正後は3段階に分けて上限が下げられ単身世帯の上限は650万〜500万円に変わった。
厚生労働省によると、補助を受けていた人は全国で約100万人。今回の見直しで約27万人の負担が増えたもようだ。市介護保険課によると、改正後「ただでさえ苦しいのに」との切実な声も届くという。
改正は、特養などで暮らす人と、在宅で暮らす人との負担の公平性を図る狙いがある。
▼介護保険料、制度開始時の2倍に
また、膨らみ続ける介護費用も背景にある。65歳以上の介護保険料の全国平均は、制度開始時の2911円(2000〜02年度)から6014円(21〜23年度)と、約2倍に跳ね上がった。国は自己負担を増やし、増大する介護費用を抑える狙いだ。
3年ごとの改正のたび、負担の増す介護保険料。厚労省は「介護保険制度を維持するため」とするが「負担が重すぎる」との声もある。
県立広島大の金子努教授(社会福祉)は「『介護の社会化』からの逆行が起きている」と述べる。家族が担うものという風潮が強かった介護を、社会全体で支えようとしたのが介護保険制度だった。「低所得者支援のカットにまで踏み込むのは『ここまできたか』という印象。介護保険制度の維持が目的になっており、このままでは格差が広がるばかり。税の負担の在り方を含め制度を議論し直す必要がある」と話している。
中国新聞社
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最終更新:11/24(水) 11:21
中国新聞デジタル
●認知症の父の介護費用「月18万円」…年金暮らし、厳しい現実
吉田 潮2020.2.15介護親子関係
認知症の父の介護費用「月18万円」…年金暮らし、厳しい現実
多くの中高年が直面する「親の介護」問題。老人ホームへの入居に抵抗を持つ人も多く、「親の面倒は子どもが見るべき」と親族一同考えがちだ。しかし、フリーライターの吉田潮氏は、著書『親の介護をしないとダメですか?』(KKベストセラーズ)にて、「私は在宅介護をしません。一切いたしません」と断言する。親孝行か、自己犠牲か。本連載では、吉田氏の介護録を追い、親の介護とどう向き合っていくべきか、語っていく。
施設暮らしは、家族が思うほど不憫でも不幸でもない
◆長い目で見れば「ちりつも」に注意
認知症の父のいる特養は、月額利用料が低めかつ安定しているが、オプションもある。月1回のヘアカットや想定外の薬剤費など、すべて市価に比べれば安価だが、ちりもつもればなんとやらだ。ケチくさい話だけど、具体例を記しておこう。
父は「謎のティッシュちぎり癖」があり、まとめ買いしておいたティッシュが一瞬カラになったことがある。日常生活の細かい部分に目を配る職員が補充してくれたりもする。
ただし、後日、利用料とともに代金が請求される。家族が用意しておけば激安品で済んだのに、気を遣ってくださったおかげで、肌触りのよい超高級な製品(母や私は絶対買わないタイプ)が用意されることもあった。これが無駄な出費となることもある。数十円〜数百円でも、長い目で見たら大きい。そこは極力家族で準備しようと、母と誓った。
初めは、ヘアカットも美容師さんにやってもらったのだが、どうせハゲ散らかしているので、私たちがハサミで短くカットすればいいのではないか、という結論に達した。本人もヘアスタイルにこだわることがなくなったし、そもそも鏡をほとんど見ていない生活だ。
ただし、エレベーターに乗ったとき、エレベーター内の鏡に映る自分を見て、「俺、こんなに毛がなかったかなぁ……」と残念そうに頭を撫でまわしてはいるが。ごめんよ、まあちゃん。でも、これで経費節減。
では、現状として毎月いくらくらいになっているか。父の場合、降圧薬などの常用薬代と医療費(医者の定期的な診察代)も含めて、
2018年
4月 18万3230円
5月 17万8272円
6月 17万1580円
7月 18万2083円
このほかに、訪問マッサージを週2回利用して、月額約3000〜4000円。ということで、月額は平均して18万円強、というところだ。
父は月額23万の年金収入があるが、18万強を差し引いて、母の手元に残るのが4万弱。母の年金額が月6万弱なので、母は10万円で暮らしている。大丈夫かなと思いきや、母から驚愕の事実を知らされた。
「あんたたちが子供の頃、生活費は月6万しかもらってなかったから。何十年もやってるから大丈夫だし、私ひとりだもの。そんなに使わないわよ」
え、子供ふたりを育てるのに、父は月6万しかくれなかったのか!? もちろん光熱費や学費などは別に払ってくれていたというが、食費と生活費を6万円で回していたのだと知って心底驚いた。母、すげえ。いや、逆にごめん。その昔、母の財布から1万円札を盗んだことがある身としては、かなりうしろめたい。
しかも、「あんたたちにお金を使わせるのは本当に嫌なのよ!」とめちゃくちゃ意固地でもある。何か買っていくと、「ちばぎん」の封筒に金を入れて、私に渡そうとする。
世の中には子供にたかる親もいるという。身分不相応の借金をこさえて、子供に払わせる親もいる。金にだらしない親のせいで、子供の人生が台無しになるケースも聞く。そういう親でなくて本当によかった。
ちなみに母と私は連絡ノートを作り、ホームを訪問した日に何があったか、書き綴るようにしている。ときどき父もそこに参戦して、何かを書いているのだが、文字と呼べるものではない。それも楽しいし、一種の機能訓練になる。書籍の第2幕では、この連絡ノートをもとに、老人ホームでの暮らしぶり、父の変身、母の心境の変化などを書き記していこうと思う。
部屋には認知症やケアマッサージの本も置いてある。足の裏をオイルマッサージすると、父は不覚にもよだれを垂らしたりする。また、水虫や湿疹、あざなどの皮膚の異変にも気づくことができる。たとえ素人であっても「見る」「触れる」の手足マッサージは効果的だ。一日中靴下と靴を履いている父の足は猛烈にくさいけれど。足湯専用の桶も用意して、ときどき足湯もさせている。
ホットタオルで顔や首を拭くのも、父は大好きである。熱い湯に浸して絞ったタオルを顔に当てると、心地よさそうにうっとりする。もともと風呂好き・温泉好きだった父が、今は週に2回しか入浴できない。不満に思っているかと思いきや、そうでもないらしい。時には面倒くさいと思うこともあるようだ。
「施設にいると、何もできなくてかわいそう」と不憫(ふびん)に思うことなかれ。実際は、家族が思うほど不憫でも不幸でもない。案外小さな喜びや快楽を見つけていることもあるのだから。
認知症の父を「否定しない・急がせない・焦らせない」
入所後「3か月」が勝負
入所後「3か月」が勝負
介護に関しては、いい本がたくさんある。専門家が書いたお金の本、家族にもできるケアや心がけの本など、ためになる本にも巡り合えた。
良書があれば、さりげなく母に勧めるようにしている。右馬埜節子(うまのせつこ)・著『認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ』(講談社)。母もこれを読んで、過去の己の蛮行を反省したようだ。私自身は、太田差惠子(おおたさえこ)・著『親の介護には親のお金を使おう!』(集英社)が非常に心強かった。
逆に、芸能人の親の介護本はまったく参考にならないとわかった。介護の肝である「金」と「罪悪感」に関して、あまりに感覚がかけ離れすぎているからだ。
本を読んだり、自治体が行う認知症の講座を受けたりして、学んだのは「否定しない」「急がせない」「焦らせない」こと。さらに自己流で言えば、「友人や知人、会社員時代の人の訃報やお誘いは、父に伝えない」「父の怒りや寂しさを真に受けず、やんわり右から左へ受け流す」ことだ。同じ質問を10分の間に8回されても、8回とも同じテンションで答えることができるようになった。
入所して3か月経つと、確かに父は落ち着いてきた。3か月が勝負というのは本当だった。「いつまでもこんなところにいられないな」「そろそろ俺もここを卒業しなきゃ」とは言い続けているが、激昂することはなくなり、実に穏やかな日を迎えている(少なくとも私の前では)。
親や配偶者をホームに入れて、ありとあらゆる言葉を浴びせられ、罪悪感に苛(さいな)まれている人には、この3か月説を教えてあげたい。今は、親の施設入居で迷っている人、罪悪感を抱いている人の背中をそっと押してあげたい気持ちである。
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