2020年10月10日

就農支援補助金、企業の農業参入失敗例、

ネット上の記事はすぐに消えてしまうことが多いので、
自分が興味を引かれた記事をここに
自分用の記録(備忘録)として保管しておきます。



就農支援補助金、企業の農業参入失敗例

令和4年8月29日更新




● 5ちゃんねるより引用

名前:Ikh ★[] 投稿日:2022/08/29(月) 18:29:39.99 ID:MnhpyJyL9
日本の食料自給率は4割を切っており、政府は20年以上も自給率向上を掲げている。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「食料自給率は、農業予算を増額するために農林水産省が作ったプロパガンダだ。政府は食料自給率向上を掲げて巨額の税金を投じ、国民は高い農産物価格を負担してきたが、その政策で潤っているのはJA農協で国民の食料安全保障は脅かされている」という――。

 ※本稿は、山下一仁『日本が飢える!  世界食料危機の真実』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

■食糧安全保障は誰のためのものなのか

 食料は生命身体の維持に不可欠であり、国民生活の基礎的物資である。食料安全保障はエネルギーの安全保障と対比されることが多い。しかし、石油や電気がなくても江戸時代の生活に戻ることは可能であるが、食料がなくては江戸時代の生活にさえ戻ることはできない。

 問題は、食料自給率の向上、食料安全保障の主張は、誰がどのような意図や目的の下に行っているのだろうかということである。

 1918年の米騒動で米移送に反対して暴動を起こしたのは魚津の主婦であって農家ではなかった。終戦後の食料難の際、食料の買出しのため着物が一着ずつ剥(は)がれるようになくなる「タケノコ生活」を送ったのは、都市生活者であって農家ではなかった。このとき、農家は農産物価格の上昇で大きな利益を得た。近くは1993年の平成の米騒動の際、スーパーや小売店に殺到したのは消費者であって農家ではなかった。

■政府・与党が掲げてきた食糧自給率目標

 1999年に制定された「食料・農業・農村基本法」は食料自給率向上目標を設定することを規定した。これに基づき閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」では、2000年当時の40%の食料自給率を45%に、引き上げることを目標にしている。

 JA農協などの農業団体は、政府・与党に食料自給率向上を強く要請した。不思議なことに、食料危機が起きると生命維持が脅かされる消費者の団体よりも、終戦時のように食料危機で農産物価格上昇の利益を受ける農業団体の方が、食料自給率の向上、食料安全保障の主張に熱心なのである。

 食料自給率が低く海外に食料を依存していると言うと、不安になった国民は国内農業を振興しないとだめだと思ってくれる。農業団体は、食料安全保障を主張することで農業保護の増加をもくろんできたのだ。

■食料自給率を犠牲にしても守りたいのは「価格」

 しかし、農林水産省やJA農協は、食料自給率の向上に反する方針で、国際交渉に臨んできた。ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉では、米の関税化を避けるために、ミニマム・アクセスという低関税の輸入枠を、関税化した場合よりも多く設定した。

 さらに、WTOドーハ・ラウンド交渉では、778%(341円/kgの従量税を従価税に換算したもの)の米の関税に代表されるような高い農産物関税についての大幅な(70%)削減要求を避けるために、代償として、低関税の輸入枠をさらに拡大してもかまわないという対処方針をとった。

 TPP交渉では、米、小麦や乳製品の高関税を維持するために、米、小麦では、アメリカやオーストラリアなどに国別の輸入枠を設定したほか、乳製品については、TPP加盟国向けの特別枠を設定した。

 低関税の輸入枠を拡大すれば、食料自給率は低下する。農産物貿易交渉での対処方針は、食料自給率向上の閣議決定に反しているのだ。農林水産省やJA農協が食料自給率を犠牲にしてまでも守りたいのは、高い関税に守られた国内の高い農産物価格、とりわけ米価である。

 日本の農業保護の特徴は、保護の水準がEUの2倍、アメリカの4倍にも上るとともに、その保護の8割を消費者が国際価格より高い価格を払うことで負担していることだ。

■減反補助金9兆円を交付しても国内生産量は減少

 農業は高い価格や財政支出で保護されながら、それに見合う供給責任を果たしてこなかった。人口が増加しているので、農業生産は拡大していなければならない。しかし、図表1が示す通り、輸入穀物をエサとする畜産は拡大しているが、他は、野菜・果物が少し健闘しているものの、全て大幅に減少している。

 米の減反には、過剰となった米から麦や大豆などに転作して食料自給率を向上させるという名目があった。転作(減反)にはこれまで9兆円もの補助金が交付されているのに、結果はこれら農業の生産減少だった。

 麦や大豆の生産技術を持たない米の兼業農家は、減反の補助金をもらうために麦や大豆のタネは蒔いても収穫しないという対応(“捨てづくり”と言う)も行った。食料自給率は下がり続けた。

■懲りなく同じ失敗を繰り返す自民党政府

 2022年、小麦の国際価格上昇によって、自民党政府は国産小麦や大豆の増産を行おうとしているが、以上述べたように、これは50年間も実施して失敗した政策の繰り返しである。

 現在毎年約2300億円かけて作っている麦や大豆は130万トンにも満たない。同じ金で1年分の消費量を超える小麦約700万トンを輸入できる。しかも、国産小麦の品質は悪い。どれだけ費用がかかってもアメリカ製よりも国産の戦闘機を購入すべきだと言う人はいないはずだ。

 減反で生産を抑制している米なら大幅に増産できる。また、品質的に近いカリフォルニア米と比べて、内外価格差は近年縮小し、逆転すらしている。しかし、自民党政府には米を増産して食料危機に対応しようという考えはない。それはタブーなのだ。

■日本トップクラスのメガバンクになったJAバンク

 アメリカやEUの農業政治団体とJA農協が決定的に違うのは、JA農協は政治団体であると同時にそれ自体が経済事業を行っていることだ。JA農協は、農家というより自己の経済的利益のために政治活動を行っている。農家からすれば、所得を確保するために、価格だろうが財政からの直接支払いだろうが、どちらでもよい。しかし、JA農協という組織のためには、価格でないとダメなのだ。

 米価維持のための減反政策には、隠れた目的がある。

 銀行は他の業務の兼業を認められていない。JA農協は、銀行業と他の業務の兼業が許された日本で唯一の特権的な法人である。減反による高米価で米産業に滞留した零細な兼業・高齢農家は、農業所得の4倍以上に上る兼業(サラリーマン)収入や2倍に当たる年金収入などを、JAバンクの口座に貯金した。莫大な農地の転用利益もJAバンクの口座に入った。こうしてJAバンクは、貯金残高100兆円を超す日本上位のメガバンクに発展した。

 この莫大な貯金の相当額を、JAバンクの全国団体に当たる農林中金が、日本最大の機関投資家として、ウォールストリートで運用することで、多くの利益を得てきた。高米価・減反政策とJA農協の特権がうまくかみ合い、JA農協の発展をもたらした。減反廃止は、JA農協が発展してきた基盤を壊しかねない。

 食料安全保障とか食料自給率向上とは別の利益を維持することが本音だから、これらを損なう政策をとってきたのは、当然だろう。

■日本政府が最も成功したプロパガンダ

 食料自給率という概念は、農林水産省というより政府が作ったプロパガンダの中で、最も成功をおさめたものである。60%以上も食料を海外に依存していると聞くと国民は不安になり、農業予算を増やすべきだと思ってくれるからである。

 しかし、食料自給率とは、現在国内で生産されている食料を、輸入品も含め消費している食料で割ったものである。したがって、大量の食べ残しを出し、飽食の限りを尽くしている現在の食生活(食料消費)を前提とすると、分母が大きいので食料自給率は下がる。同じ生産量でも30年前の消費量だと食料自給率は上がる。分母の消費量の違いによって食料自給率は上がったり下がったりするのだ。そもそも指標として不適切である。

 逆に、終戦直後の食料自給率は、輸入がなく国内生産量と国内消費量は同じなので100%である。餓死者が出た終戦直後の方がよかったとは、誰も言わないだろう。シーレーンが破壊されて輸入が途絶する食料危機の際も、政府が努力しなくても100%に“なる”。

■ともに飢餓に苦しんだ日本とEUの大きな違い

 現在の食料自給率37%の過半は米である。1960年に食料自給率が79%だった時もその6割は米だった。つまり、食料自給率の低下は、米の生産を減少させてきたことが原因なのである。

 食料自給率とは、国内生産を国内消費で割ったものだから、国内消費よりも多く生産して輸出していれば、食料自給率は100%を超える。アメリカ、カナダ、フランスなどの食料自給率が100%を超えるのは、輸出しているからだ。

 第二次世界大戦後、日本と同じように飢餓に苦しんだEUは、日本と同様、農業振興のために農産物価格を上げた。このため、農産物の過剰に直面した。ここまでは、日本と同じである。しかし、日本が減反で農家に補助金を与えて生産を減少したのに対し、EUは生産を減少するのではなく、過剰分を補助金で国際市場に輸出した。

 日本が国内の市場しか考えなかったのに対し、EUは世界の市場を見ていた。これが食料自給率の違いとなって表れている。

■それでも日本の食料自給率は上げられる

 世界の米生産は1961年に比べ3.5倍に増加している。残念ながら、農家による宅地等への農地転用などで水田面積は1970年の350万ヘクタールから240万ヘクタールに減少しているが、世界の増産努力を考慮すると、減反を廃止すれば、3000万トンまで生産を拡大できるはずだ。一気にこの水準に到達できないとしても、面積当たりの収量をカリフォルニア米程度に増加させれば、1700万トンの生産は難しくない。

 国内生産が1700万トンで、国内消費分700万トン、輸出1000万トンとする。米の自給率は243%となる。現在、食料自給率のうち米は20%、残りが17%であるので、米の作付け拡大で他作物が減少する分を3%とすると、この場合の食料自給率は63%(20%×243%+17%-3%)となり、目標としてきた45%を大きく超える。米生産が3000万トンとなれば、食料自給率は100%となる。輸入が途絶したときは、輸出していた米を食べるのだ。輸出は無償の備蓄である。

 医療サービスのように、通常なら財政負担をすれば国民は安く財やサービスの提供を受ける。ところが米の減反は、農家に補助金を与えて生産を減少させ、米価を上げて消費者負担を高めるという異常な政策である。国民は、納税者、消費者として二重に負担している。

 麦、大豆と異なり、減反廃止には金がかからないどころか、財政支出を軽減できる。減反補助金3000億円が不要となる。米価低下で影響を受ける主業農家には、1500億円ほどの直接支払いで十分だし、かれらが規模を拡大して生産性を向上すれば、この金も要らなくなる。麦、大豆などへの財政支出は廃止して、その一部を使用して安い穀物を輸入して備蓄すればよい。

■重要なのは生命維持できる総カロリーに対する数値だが…

 真剣に食料安全保障の観点から食料自給率を設定しようと思うのであれば、国民が生命を維持できる総カロリーに対して、石油などの輸入も途絶したときに、国内生産で供給できるカロリーを提示すべきである。

 それが国民の目に明らかになれば、どれだけ米生産を拡大しなければならないのか、ゴルフ場などを農地に転換してどれだけ農地資源を増大しなければならないのか、国産では不十分な穀物をどれだけ輸入して備蓄しておかなければならないのか、がわかる。

 しかし、農林水産省やJA農協が、そのような数値を提示するとは思えない。提示した途端、米を減産する減反政策、農地を簡単に転用させる農地政策という、彼らが推進してきた政策が国民の利益を無視してきたことが白日の下にさらされるからだ。



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山下 一仁(やました・かずひと)
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
1955年岡山県生まれ。77年東京大学法学部卒業後、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、同局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員、2010年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。著書に『バターが買えない不都合な真実』(幻冬舎新書)、『農協の大罪』(宝島社新書)、『農業ビッグバンの経済学』『国民のための「食と農」の授業』(ともに日本経済新聞出版社)、など多数。近刊に『日本が飢える! 世界食料危機の真実』(幻冬舎新書)がある。
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※元ソース 
Yahoo!Japan/President Online 8/29(月)13:36 配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ad8a764cf95bc79c598e41f05b36968c03dd23d







●就農者に1千万円の一括支援 初期負担軽く、担い手育成
2021/11/13(土) 16:36配信

共同通信
新規就農者の主な支援策

 農林水産省が2022年度に、将来の農業の担い手となる49歳以下の新規就農者を育成する支援策を刷新することが13日分かった。機械やトラックなど初期投資の負担を減らすため、最大1千万円を一括支援するほか、就農者を指導する農業法人などへの助成期間を従来の最長2年から5年に延ばす。農業者が減少する中、就農者の経営の安定化や長期定着を後押しする。

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 現行制度では、市町村から就農計画の認定を受けると、1〜3年目に年150万円、4〜5年目に年120万円の最大690万円の支援がある。

 農水省幹部は、現行制度に「就農者から初期投資に十分対応できないとの声があった」と話す。


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共同通信






●1000万円のハウスを元手ゼロで建設、新規就農者の賢い補助金活用術
連載企画:農業経営のヒント

ネット販売
販路
農業とお金
1000万円のハウスを元手ゼロで建設、新規就農者の賢い補助金活用術
公開日:2021年04月05日
最終更新日:2021年06月23日
農家をサポートする補助金や制度融資はさまざまにある。だがあまりに種類が多いうえ、中身がよく変わるので、うまく活用するのは簡単ではない。そうした中、千葉県野田市の野菜農家、荒木大輔(あらき・だいすけ)さんは自ら補助金を使っているだけでなく、周囲の農家にアドバイスする立場にもある。賢い補助金の活用法について荒木さんに聞いた。


目次
なぜ補助金や融資の仕組みに詳しいのか
減価償却費で所得制限をクリア、1000万円の投資資金をどのように確保したのか
認定農業者として営農のレベルアップ
なぜ補助金や融資の仕組みに詳しいのか
荒木さんは現在、39歳。2015年に実家で就農した。栽培面積は2.4ヘクタールで、枝豆やネギ、パクチー、ホウレンソウなどを作っている。主な出荷先は、ちば東葛農業協同組合(JAちば東葛、本店千葉県柏市)だ。
荒木さんは補助金や融資の仕組み、申請方法など農業関連の制度に明るく、利用の仕方に困った近隣の農家から頻繁に相談を受けている。農協から勉強会に講師として招かれ、新しい制度の内容などについて話すこともある。制度に精通している理由は、東京農業大学を卒業した後、農協の全国組織である全国農業協同組合中央会(JA全中)で10年ほど働いたからだ。そこで農政で何が焦点になっているかを調べ、資料をまとめる仕事を担当し、制度の細かい内容やその背景にある農政の考え方について学んだ。


荒木さんの主力の品目の一つの枝豆

大学時代は卒業したら、すぐに就農しようと思っていた。そうせずに、いったんJA全中に就職したのは、祖母から「農業はもうからない」と反対されたからだ。回り道のように見えて、この経験は荒木さんにとって大きな財産になった。就農と同時にさまざまな手を打つことができたからだ。
農業を始める際にまず「青年等就農計画」を作成し、野田市に提出した。計画が適切かどうかを市に判断してもらうためだ。新たに農業を始める人を後押しするのが目的で、農業経営基盤強化促進法で定めた制度だ。
計画には、目標とする所得や労働時間、品目ごとの生産量、栽培面積の見通しなどを記した。荒木さんによると「作物ごとの経費や収量、販売単価などの基礎的なデータを集められるかどうかが重要」。JA全中でさまざまな資料を作っていたので、さほど難しくなかったという。
期待していた通り、計画は野田市にすんなり認められた。その結果、得ることができたのが「認定新規就農者」という立場だ。このことが、就農から数年の間に営農の基礎を固めるための出発点になった。


JA全中での経験が財産になった(東京都千代田区)

減価償却費で所得制限をクリア、1000万円の投資資金をどのように確保したのか
認定新規就農者になったことで、受給が可能になったのが「農業次世代人材投資資金」だ。申請先はこれも野田市。年に最大150万円の補助金を、最長5年間にわたって受け取ることができる。かつての名称は「青年就農給付金」。農業を始める人にとって最もポピュラーな助成制度だろう。
この制度でネックとされてきたのが、受給に所得制限がかかる点だ。農業を始めたばかりで経営が不安定な生産者をサポートするのが狙いのため、所得が一定額を超えると受給額が減る仕組みになっている。具体的には年100万円以上で受給額が減り始め、350万円に達するとゼロになる。
所得は売り上げから経費を引いて算出する。そのため、売り上げが増えると受給額が減る可能性が出てくるが、荒木さんにその心配はなかった。売り上げが伸び悩んだからではなく、1000万円でハウスを建てたからだ。


1000万円で建てた栽培ハウス

設備投資をすれば、減価償却費が発生する。これは費用に計上されるため、所得を減らす効果がある。もちろん、荒木さんは必要のないハウスを作ったわけではない。ハウスの建設は就農前から考えていたことで、認定新規就農者になるとき市に提出した計画にも書き込んでいたプランだ。
ここで重要なのは、所得を圧縮する効果があるのを念頭に置いて投資した点だ。だが荒木さんのような戦略がなく、受給額が減るのを心配し、規模拡大をためらう農家が少なくない。その結果、制度に批判が高まったため、農林水産省は2021年度の申請分から所得制限を撤廃することにした。

荒木さんが1000万円の投資資金をどうやって確保したのかに話





●就農支援補助金を1000万円に拡充、「優しい制度」に潜むリスクとは
連載企画:農業経営のヒント

助成金・補助金
新規就農
就農支援補助金を1000万円に拡充、「優しい制度」に潜むリスクとは
公開日:2021年10月04日
農業が抱える担い手不足という課題の解決を目指し、農林水産省は2022年度から新規就農者の支援制度を拡充することを決めた。就農から5年の間に最大で690万円を交付する現行制度を改め、初期投資に使うのを念頭に最大1000万円補助する新制度を導入する。金額の増加は就農者にとって恩恵だが、営農を途中で諦めると多額の負債を負いかねないというリスクをはらむ。


目次
経営開始型の補助金を抜本見直し
途中で離農すれば交付を打ち切り
日本政策金融公庫の厳正な審査が必要
経営開始型の補助金を抜本見直し
2022年度に改定されるのは「農業次世代人材投資事業」の交付金。農業大学校などで研修期間中の人に出す「準備型」と、就農を始めた人に給付する「経営開始型」の2つがあるが、今回は後者が抜本的に見直しになる。

経営開始型は、49歳以下の新規就農者などが対象。農業を始めてから5年で経営が安定するのを見込み、最初の1〜3年目は年150万円、4〜5年目は120万円を交付する。農業法人などに就職して働くケースは対象外だ。

制度が始まったのは2012年。当初は「青年就農給付金」という名前だった。いまでもこの呼び方のほうがピンとくる人が多いかもしれない。「農業を始めれば補助金が出る」という仕組みが真新しかったからだ。

農水省
就農支援の見直しを決めた農水省

2021年度に新たに交付対象になった人を最後に、経営開始型は終了する。代わりに2022年度予算の概算要求に農水省が盛り込んだのが、1000万円を上限に就農者を資金面でサポートする制度。現状と比べて金額の増加が鮮明だ。

具体的には、まず日本政策金融公庫が最大1000万円を無利子で融資。使い道は、就農してから3年以内に機械や施設を買うための資金とする。償還スケジュールは10年均等。この返済資金を、国と地方が毎年肩代わりするのが制度の柱だ。

制度を改めるのは、交付金を生活費に充てる農家が多いことに批判があったからだ。農業の発展にはつながりにくいというのがその理由。そこで新制度は設備投資を後押しする仕組みにするとともに、支援規模を拡大した。

ただし「設備資金しか出さない」としてしまうと、営農が立ちゆかなくなる人が出ることも想定される。そこで公庫への返済分の支給とは別に、最大で月13万円の交付金を3年間、使い道を限定せずに支給することにした。

途中で離農すれば交付を打ち切り
ここまで新旧の制度の概要をみてきたが、どちらも農業をやめた時点で、補助対象から外れるルールになっている。例えば現行制度では、5年を待たずに離農すれば、その時点で交付を打ち切る。交付期間が終わった後、同じ期間農業を続けなければ、返還を求めるルールにもなっている。例えば5年間受け取った後、2年で農業をやめれば、3年分の交付金を返す必要がある。

では「農業をやめる」とはどんな状態を指すのか。農水省の要綱によると、経営を大幅に縮小したり、耕作を放棄したりするケースが該当する。年間150日かつ1200時間以上農作業をしていないときも「やめた」と判定される。

投資資金
新制度は主に設備投資を支援する

これと似たペナルティーが新制度でも科される。例えば就農から3年で農業をやめればその時点で、交付金は停止になる。残りの7年分は自分で日本政策金融公庫に返済する。1000万円借りていれば、残りの借金は700万円になる。

月13万円の交付金にも返還規定を設ける。最大468万円を3年間受け取り、1年でやめると2年分の312万円を返す必要がある。補助金を受け取る以上、最低限それに見合う期間続けるべきとの発想が制度全体を貫いている。

日本は膨大な食品ロスが発生する一方で、耕作放棄が増え続けるという状況にある。いまは国民が食料に困ることはないが、このまま放棄地が増大すれば、いつか食料の安定供給に黄信号がともる可能性がある。

税金を使って農家を後押しするのは、そうした事態を防ぐのが目的だ。それでも「無条件で供与」というわけにはいかず、期待に応えることができなければ返すことが必要になる。制度を利用する前に確認すべき点だ。

耕作放棄地
就農者が増えないと耕作放棄も増える

日本政策金融公庫の厳正な審査が必要
新制度のもとで、就農者が受け取る交付金はこれまでの最大690万円から1000万円に膨らむ。だが農業を途中でやめれば返還を求められる資金であり、やめるタイミングによっては多くの負債を抱え込むことになる。

自己責任という見方もあるだろう。他産業では例のない多額の支援を受ける以上、それだけの覚悟を持って農業に向き合うのが筋。そう思うのは当然だが、誰もが続けられるようなら農業はいまのような苦境にはない。

新旧どちらの制度も、市町村などが営農計画を事前チェックする。だがどこまで厳しく審査するかはわからない。農家を増やすのが自治体の目標だからだ。もし計画の半ばで離農しても、行政が責任を負うことはない。

むしろ期待したいのは、日本政策金融公庫の役割だ。貸し倒れになるリスクを考慮して、融資に見合う計画かどうかを厳正に判断してほしい。金融のプロの冷静な視点こそ、就農者にとって最大の導きになる。

ほかの産業の常識からすれば、起業資金は自分でため、自分で集めるのが王道だ。農業は食料生産を担っているという性質ゆえに公的な補助があるが、身の丈に合わないお金を受け取れば、本来うまくいくはずだった営農さえ迷走する恐れがある。新規就農の芽を伸ばす制度運営を望みたい。






●企業の農業参入失敗例

●大企業が農業参入してもほとんどみんな失敗するケースが多い。

ワタミ、オムロン、ユニクロ、JT、東芝、ニチレイ、吉野家。

まず初期投資(大型農機やトラックや温室や大型ビニールハウスや倉庫
などの各種設備投資)が大きくてそれに見合う儲けが少なすぎる。
毎月の収入も全く無い月もあるが人件費などの固定経費は出ていく。
また農機などの機械類も毎年高額な点検整備料や修理代(農機の修理
代は高いよ)などの維持管理費が必要になる。

農機も10年くらいで老朽化して定期的に高額な買換えが必要だ。
買い換えないと高額な修理代がその後は毎年継続して必要になる。
農業収入は増えなくても肥料、農薬、資材、農機などは毎年少しずつ
値上がりしている。

安価で安定した労働力確保も難しい。
農繁期と農閑期があり、労働力の要る時と要らないときの差が大きい。
また天候に左右され、大型台風一発で温室やビニールハウスなどの投資や
1年間の労働がパーになる。

害虫、病気、雑草などの被害も大きい。
近年、殺虫剤の効かない害虫や薬が効かない病気、除草剤の効かな
い雑草なども増えてきている。

順調にできたらできたで国中が大豊作で値崩れしてしまったり、売れ
ずに畑に鋤きこむことになる。自分のところがよくできるときは
他人のところも良くできる。

野菜は工業製品と違い、生産数量増加が必ずしも
売り上げ増加や利益増加につながらないケースがしばしばみられる。

令和2年の12月は天候に恵まれ、またコロナの影響で
需要が落ち込んだため、野菜を出荷しても
野菜を入れるための段ボール箱の購入代金のほうが
中身の野菜よりも高いという100%赤字に
なる状態が起こっている。まさに豊作貧乏だ。

こんな状態になっても、本当にうまくいくと言うか、
赤字に耐えて乗り超えることができるのは
農業収入に頼らなくても、別途に生活できるだ
けの収入がある年金農業か兼業農家だ。

野菜を自分たちで作るよりも購入したほう
がはるかに安いという状況になると、その野菜を使用する企業の直営店でも
利益を重視した場合は価格のはるかに安い市場や
他店から野菜を購入するようになる。
農業収入のみで経営する企業による大規模農場ほど、
こんな時は大赤字になって結果的には撤退することになる。




●農家泣く泣く廃棄の決断 出荷1箱14本で10円以下
国内
2020年12月7日 月曜 午後7:25
新型コロナウイルスの影響は、わたしたちに身近な食材にも及んでいるとみられる。

だしのうまみがしみ込んだ、おでん。
ちくわや、はんぺん、卵など、数ある具材の中で、やっぱり欠かせないのが、大根。

後藤蒲鉾店・後藤直美さん「1番人気は“大根”です。今週に入って、下がってきた感じです」

東京都内にある、「スーパーイズミ」。

大根の値段を見てみると、1本98円だった。

このスーパーでは、2019年の同じ時期、高い時で1本180円で売られていた。
それが2020年は、半値に近い98円。

また、佐久間みなみキャスターの顔よりも大きい白菜は、80円。

2019年の同じ時期より、50円安くなっていた。

消費者にはうれしいかぎりだが、生産者からは、不安の声が上がっている。

神奈川・三浦市の畑で、すくすくと育っているのは、地元の名産品、三浦大根。

スズカク農園・鈴木彩子さん「大きい台風がなかったので、被害にも遭わず、よく育ってくれてます。14本1箱入って、10円を切る状態。箱代が1箱100円なので、出荷しても利益は出ない。これが数年続いたら、農家をやっていけない」

大きく育ちすぎた大根は、収穫体験などで提供している。

しかしそれでも、さばききれない状況となり、やむなく廃棄している。

同じような苦渋の決断は、別の野菜農家でも起きている。

出荷できるサイズまで育った白菜をトラクターでつぶしていたのは、茨城・古河市で白菜農家を営む、鈴木弘晃さん。

鈴木農園・鈴木弘晃さん「どこに出しても恥ずかしくないような白菜ですので、それを自分の手でつぶすのは、心を引き裂かれるような、そんなつらい思いです」

2020年は最高の出来となったという白菜だが、泣く泣く廃棄している。

理由は、こちらも値崩れ。

出荷価格は、例年1ケース4玉入りで800円だったが、2020年は200円と、4分の1まで落ち込んだ。

金額にして、およそ80万円分。

畑およそ10分の1の白菜が、食卓にのぼることなく、廃棄されるという。





●野菜安すぎ、「利益出ない」と産地悲鳴…生育順調・コロナで外食低迷
2020/12/5(土) 13:31配信

 野菜の価格が大きく下落している。天候に恵まれ、生育が順調だったことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大により外食需要が低迷していることが背景にある。家計にとっては朗報だが、生産者は頭を抱えている。

【写真】「めでたい焼」で良い年願う…年末年始「おめでたい気持ちに」

■500玉無料配布

 東京都新宿区の青果店「新宿八百屋」では今月上旬、レタスが1玉58円、ハクサイが1個138円で売られていた。いずれも平年より4割以上安い。60歳代の主婦は「日常的に購入する野菜が安くなるのは助かる」と顔がほころんだ。

 ただ、売れ行きは伸び悩む。感染拡大の影響で全体の1〜2割を占める飲食店などへの業務用販売が低迷しているうえに、家庭は節約志向を高めている。運営会社の荒巻秀俊専務は「いくら安くしても売れない」と嘆く。

 特に葉物野菜は長持ちしないため、在庫が多すぎると、一気に安売りを迫られる。2日にはレタス約500玉を無料で配った。

 東京・大田市場によると、11月20〜26日のレタスの卸売価格(中心価格帯)は前年同期比で61%下落した。ハクサイ58%減、キャベツ35%減、ダイコン16%減と軒並み安い。農林水産省は、今年は現時点で2008年以来12年ぶりに台風の上陸がないなど天候に恵まれたことに加え、外食需要の落ち込みで、供給がだぶついたことが要因と分析している。

 産地からは悲鳴があがっている。レタス産地のJAハイナン(静岡県牧之原市)の担当者は「価格が安くなれば利益が出ない。このまま安値が続けばやめてしまう農家が出てしまう恐れもある」と話す。

■鶏・豚肉は高値

 一方、国産の鶏肉や豚肉は高値で推移しそうだ。農水省によると、11月の鶏肉(もも)の卸値(東京地区)は1キロ・グラムあたり654円で、前年同月と比べて約12%高かった。豚肉の卸値(東京市場)も531円で16%高い。

 鶏肉は、家庭向けが国産、業務向けが輸入と比較的すみ分けられている。外食需要が減っても、国産品価格を押し下げにくい。

 鶏肉は例年、需要が減る夏場に冷凍して、冬用の在庫に回している。しかし、今年はコロナ禍で夏場でも家庭用の売れ行きが堅調で、「すでに在庫が少ない」(食肉卸)ことも、高止まりの要因と考えられるという。

 国内では高病原性の鳥インフルエンザも猛威を振るっている。今のところ影響は限定的だが、出荷が滞れば価格がさらに上昇する懸念もある。

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最終更新:12/8(火) 3:32
読売新聞オンライン





●ワタミファーム 北海道から撤退  イオン農業生産法人と1千トン契約
農政 農業問題
2008年05月27日
企業の農業参入
ワタミファーム、千葉や北海道で農場展開。

しかし、「檜山管内せたな町で二〇〇四年四月から酪農の飼料用に牧草などを栽培していたワタミ子会社のワタミファームは同町を介して借りた農地を年々縮小。三月末までに契約をすべて打ち切った。」とのニュースが入ってきた。

一般企業の農業参入に関しては規制が多い。
規制下で、しかも農家が放棄した農地しか引き受けられない。

特定法人貸付制度、
条件不利地からのスタートが前提。
農業法人でもない。

やはり、農業への一般企業の参入、規制改革が必要なのだろう。
一般企業でも農業のノウハウを得るには今後様々の試行錯誤が必要と思う。
これで、オムロン、ユニクロについでワタミが北海道農業からの撤退三番目となるのか、、。

農地があれば経営ができるというモノでもないことが、社会の方々や政策立案者にはよくわかったことだろう。特に肉畜、酪農や畑作・水田等の土地利用型農業は官民一体となった取り組みが必要なだけに、会社が入ると言うだけで、制度的対応を行わないことのつけがこうしたところにも出ているのではないか。

またイオンが安いPB米を2.5倍に増やすという。
その量は2万5千トン。
結構な量だ。
しかし、イオンのPB米は、2割がた格安米になる。
農協だけでなく農事組合法人と契約するという。
全農→卸販売では、値頃感が出ないのだろう。
全農・卸の中を抜く中抜き流通が増える可能性がある。




以下引用

企業の農業参入低調、道内、3月までに2社撤退――支援制度、なお壁高く。2008/05/20, , 日本経済新聞 地方経済面 (北海道), 1ページ, 有, 993文字


 企業の農業参入が道内で停滞している。市町村が定める区域内の農地を借り受け建設業などが多角化の一環として取り組んでいたが、収益改善が見込めないなどの理由で今年三月末までに二社が撤退。道内全体で引き続き農業に取り組む企業は九社にとどまる。
 「これじゃとても採算が合わない」。昨年六月に十勝管内陸別町で農業に参入した建設業の渡辺組。てん菜やカボチャを手がけたが、一年足らずで撤退に追い込まれた。同社は林業なども手掛けるが、同町によると「利益の比較で農業はとても割が合わないということだった」と明かす。
 檜山管内せたな町で二〇〇四年四月から酪農の飼料用に牧草などを栽培していたワタミ子会社のワタミファームは同町を介して借りた農地を年々縮小。三月末までに契約をすべて打ち切った。
 両社が参入に利用した「特定法人貸付事業」と呼ばれる制度は高齢化などで農業従事者の減少が著しい地域で企業に担い手の一翼を担ってもらうことが目的。しかし、ワタミファームは「農業者として認定されたわけではなく、補助金の面でも農業生産法人より不利」と指摘する。
 同制度は企業が農業生産法人を設立せずに農地を直接借りられるメリットがある。参入リスクは軽減できるが、市町村が区域設定の対象とするのは遊休農地か、その恐れのある農地だ。
 ノウハウに乏しい異業種の企業が、プロである農家が見放すような事実上の耕作放棄地などで利益を上げることは至難の業だ。道は二〇一〇年度までに十三社の参入を目指すとしているが、企業による自由な農地取得が禁じられ、賃借できる農地も制約を受ける現状では目標達成は簡単ではない。
 農地を巡っては農林水産省が企業の参入規制を見直す議論を続ける。二十年を超える定期借地権制度の創設なども浮上しており、年内にも改革案がまとまる見通しだ。
 一方で、設立要件は厳しいものの耕作地に制約がない農業生産法人への出資などを通じ、食品企業などが農業に参入する例は道内でも増えている。道も建設業に対し、多角化の一環として事例集などを作成し、参入を後押しする。
 道内の農業生産(名目)は〇五年度で五千十一億円と、〇四年度の五千三百六十二億円から減少。北海道の基幹産業の一つである農業を一段と活性化させるためにも、多様な担い手を受け入れる環境づくりが急務だ。
【図・写真】大規模化が進む道内農業だが、新たな担い手の参入は欠かせない



イオンPB米2.5倍、10年産、農業法人に生産委託。2008/05/15, 日本経済新聞 朝刊, 15ページ, , 272文字


 イオンはプライベートブランド(PB=自主企画)商品としてスーパーなどで販売しているコメの量を二〇一〇年産で二万五千トンと、〇八年産の二・五倍に増やす。市販のコメより二割程度安くなるため、消費者の需要があると判断した。農協(JA)との契約に加え、農業法人とも委託生産契約を結び、安定的に販売できる量を確保する。
 販売を増やすのはPBの「トップバリュグリーンアイ特別栽培米」。これまではJAを通じて商品を仕入れしていたが、新たに秋田県の農事組合法人に約一千トンの生産を委託。価格は同等の品質のコメより二割程度安い五キロ千九百八十円を予定している。




●Vol.54「農業にアグリファンドを」
ちょっと前ですが、日本たばこ産業が「来年6月をメドに、アグリ事業の主力であった野菜の流通事業と農業資材販売事業から撤退する」というニュースがありました。JTは量販店向けにトマトなどの付加価値の高い野菜を供給していて、塩の小袋が付いた「なつかしトマト」など、なかなかアイディアのある商品だと思っていましたが、「安い輸入農産物に圧されて、販売が伸び悩んでいたのが撤退の原因」とのことです。



●2002年の10月「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの柳井正会長は「食品は価格よりも、おいしく新鮮で安全かどうかが大事。これだけ生産管理をしていて、この価格で売っている所は他にはない。」と、自信満々で、野菜の通販事業に乗り出しました。
しかし、結果はというと、、初年度から売上予測の半分の売上高と、売上は低迷。野菜を安定供給できなかったり、在庫管理が思いのほか難しいなど苦戦を極め、たったの2年で約28億円の赤字を出し、あっけなく撤退することとなってしまいました。
柳井正会長によれば、「野菜は衣料品と異なり計画生産できなかった。これ以上赤字が膨らむと取引先や株主に迷惑を広げる恐れがあり、撤退を決断した」というコメントを残しています。

●過去をひもとけば、華々しく企業が農業参入して失敗した歴史がある。その代表例がオムロンとユニクロだ。97年、オムロンは22億円を投資して7ヘクタールのガラス温室を北海道に建設。自社の技術を利用して糖度の高いトマト生産を手がけたが、黒字化のめどが立たず02年に撤退した。その年、入れ替わるように参戦したのがユニクロで、流通の合理化を掲げ、水と肥料を減らす「永田農法」を取り入れた高級野菜の販売を開始。糸井重里がブランド「SKIP」をプロデュースするものの、販売不振が続き、04年には早々と撤退している。

●ワタミファーム、千葉や北海道で農場展開。
しかし、「檜山管内せたな町で二〇〇四年四月から酪農の飼料用に牧草などを栽培していたワタミ子会社のワタミファームは同町を介して借りた農地を年々縮小。三月末までに契約をすべて打ち切った。」とのニュースが入ってきた。



●吉野家ホールディングスが農業事業を縮小したことが明らかになった。グループの外食チェーンの食材にするために神奈川県などでコメや野菜を作っていたが、黒字化のメドが立たず、生産をやめた。農業の再生を期待される企業参入だが、実際は撤退するケースが少なくない。本業のノウハウを生かす緻密な戦略が求められている。
 吉野家は2009年に吉野家ファーム神奈川(横浜市)を設立し、農業に参入した。神奈川と山梨で借りていた農地は合計で約9ヘクタール。日本の平均が2.7ヘクタールなのと比べると大規模経営に進み始めていたが、3月末までに地主に農地を返した。横浜市の事務所も6月いっぱいで返却する。
 事業の継続を諦めたのは、農地が分散していて経営効率が低かったことが一因。神奈川では水田が2つの地域、畑は4つの地域に分かれていた。売り上げを増やすために規模を拡大したことが、かえって効率向上の足かせになっていた。
 栽培技術も十分に高めることができなかった。神奈川ではピーク時に30種類もの野菜を作っていたが、グループ企業の品質基準を満たして出荷できたのはキャベツや白菜などにとどまった。他の品目は売り上げを立てるため、周辺のスーパーに売ることもあった。
 一方、山梨で15年に借りた水田は神奈川と違って分散しておらず、効率を高める余地はあった。だが1年目は栽培がうまくいかず、2年目は収量が増えたものの、目標には未達。神奈川の撤退と合わせて、農地を地主に返すことにした。
 同社が農業に参入したのは、元店長の働く場所を確保するのが目的だった。本業が外食のため、作物の売り先があるという利点もあった。だが栽培が安定せず、利益を出すことができなかった。東北の一部地域に農場は残っているものの、事業の出発点となった吉野家ファーム神奈川の農場はすべて閉じた。
 吉野家の事業縮小は戦略性のなさが際だつようにみえる。だが企業が鳴り物入りで農業関連ビジネスに参入し、撤退する例は少なくない。

●オムロンはオランダから最先端の栽培施設を輸入してトマトの生産を始めたが、約3年で02年に撤退した。

●ニチレイは野菜の貯蔵と加工を手がける6次化事業に参入し、16年3月に撤退。

●東芝も16年末に植物工場を閉鎖した。

他にも様々な企業が挑んだが、事業を軌道に乗せることができた例はごくわずかだ。

 多くのケースで共通なのは、本業のノウハウを生かそうとして参入し、農業の収益性の低さに直面して黒字化に見切りをつける戦略の「甘さ」だ。
 日本は輸入農産物も合わせれば、年間の食品ロスが数百万トンに達するほど供給過剰になっており、農産物の生産で利益を出すのは簡単ではない。
 規制が企業の農業ビジネスの障壁になっているわけでもない。吉野家ホールディングスは「制度以前の問題。事業を拡大できるビジネスかどうかの判断が十分ではなかった」と説明する。
 農業は高齢農家の大量引退が始まり、大きな変革期にある。そうしたなか、有力農家が規模拡大の好機を生かすために法人化するなど「企業的な経営」は成長の条件の一つ。農業に参入する企業も農業の収益性の低さを踏まえたうえで、競争に打ち勝つ新たな戦略が必要になっている。




●商社の農業参入 鈴木俊彦(農政ジャーナリストの会) 前半
食と農のあらゆる分野に 
積極的に参入する総合商社(1)
 このところ、食品産業、外食産業、建設業などの農業参入が注目されているが、その本家本元は総合商社である。ジェット機からラーメンまで、商社の営業領域は広範だが、食料品も伝統的に主要な品目だ。そこで最近の商社の農業参入の動向を探り2回にわたり掲載する。今号は、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅について掲載する。

◆畜産から始まった商社の垂直的統合


 商社の農業へのバーティカル・インテグレーション(垂直的統合)の歴史は約40年前に発する。それは畜産分野から始った。輸入飼料の供給と畜産物の引き取りという“往復ビンタ”方式で、畜産農家は契約飼育のもと、トリ小作、ブタ小作の形で商社に統合されていった。
 南九州でブロイラーや肉豚の多頭羽飼育に着手した三菱商事のジャパンファームは、グループの日清飼料や菱和飼料と連携して食肉をジャスコなどの量販店に供給した。まさにこの分野での先駆者だった。
 現在では、畜産分野に留まらず青果物を中心とする園芸分野でも、各商社は数々のインテグレーションを展開している。



◆食品分野に伝統的に重点をおく三菱商事


 三菱商事は伝統的に食品分野にも重点を置き、系列の4食品卸を統合して菱食を設立、食品卸業界のリーディングカンパニーとなっている。
 また、ダイエー・ロジスティックス・システムズよりローソン向け物流システムの営業譲渡を受け、コンビニチェーン向けチルド(冷蔵食品)物流のフードサービスネットワーク(FSN)を設立するなど、食品部門のスタンスは極めて強力である。
 三菱商事の最近の動きで注目されるのは、伊藤ハムに追加出資して20%を握る筆頭株主となったこと。伊藤ハム自身も三菱商事傘下入りで信用を高め、経営再建をめざしている。三菱商事が筆頭株主となっている日本ハムや系列下の米久などとの相乗効果も小さくない。



◆チャレンジ精神が旺盛な伊藤忠商事


 農業部門への意欲満々な総合商社は、やはり伊藤忠商事だ。会長の丹羽宇一郎氏の財界における発言力は高まる一方であり、「日本プロ農業総合支援機構」(J・PAO)の理事長を務め、かの高木勇樹副理事長(元・農水次官)とともにプロ農業者の支援に力こぶを入れている。
 丹羽氏自身の農業ビジョンは「日本の農業が自給力(自給率ではなく)をつけていくことが大事。そのためには経営感覚に優れたプロ農業者が必要で、日本の農業システムを変えていかなければならない」というもの。
 このJ・PAOの副理事長には、高木氏とともに瀬戸雄三アサヒビール相談役、伊藤元重東大教授も就任、理事にはクボタ、住友化学、ヤンマー農機、カゴメなどの役員も顔を並べている。「農地は“所有するもの”でなく“利用するもの”」というのが丹羽氏の持論でもある。
 伊藤忠商事は、アミノ飼料などとタイアップし、霞ヶ浦畜産などで肉豚を飼育して、プリマハムで加工、大手量販店に供給している。また伊藤忠は世界最大の青果資本ドール・フード(米国カルフォルニア州)の日本法人ドールと提携して生鮮青果の加工・物流センターを設立し、各地の農業生産法人と業務提携をして、イトーヨーカ堂、セブン・イレブンなどと農産物の供給契約を結ぶ作戦を展開している。
 そのドールは、北海道、宮城、福島、千葉、岡山、長崎、宮崎の国内6ヵ所でブロッコリーを主に、カボチャ、ニンジン、スイートコーンなどの生産にも着手している。
 伊藤忠は、吉野家などの外食・リテール事業にも手をそめ、グループのファミリーマート向けに東北の良質米を供給、業務用の米飯会社「フードエクスプレス」を設立し、炊飯を弁当業者に売り込んでいる。単位農協としては大規模な生活事業展開で知られるJAいずもが、ファミリーマートの店舗経営に参画している動きも、JAグループとしては留意すべきだろう。
 総じて伊藤忠は、商社業界のなかでは財閥系にないアグレッシブなチャレンジ精神を売り物にしている。




◆穀物取引で強み発揮する丸紅


 丸紅は創業150年を伊藤忠とともに迎えた。食品分野では伝統的に穀物トレーディングに強みを発揮し、小麦、トウモロコシ、コーヒー豆などの取り扱いでは商社業界トップを誇る。
 提携先のダイエーグループ向けに産地を指定した良質米の調達に乗り出す一方、福岡米穀などの株式を取得し、量販店や外食産業へのコメ販売に拍車をかけている。また「ライスワールド」を設立し、コメ小売にも進出している。
 川下では食品スーパーのマルエツや東武ストアに出資、さらにダイエーの事業スポンサーに選定され、6兆円を上回るイオン、ダイエーの巨大小売集団と提携してている。国外では、中国の食糧備蓄管理総公司(シノグレイン)と包括提携し、米国や南米から買い付けた大豆などの穀物400万トンをシノグレインに納入するというマンモス取引圏も形成している。
 丸紅の動向として注目すべきは、食料・原油など資源問題を中心に詳細なレポートを発表して「食料小国」の危機を訴えるシンクタンク・丸紅経済研究所の存在である。同研究所長の柴田明夫氏は農水省食料・農業・農村政策審議会の委員を務め、国策にも関与しながら国際的な食料争奪戦の実態を解明し世論を喚起している。
 丸紅の柴田氏と伊藤忠の丹羽会長の言動には、JAグループとしても重大な関心を寄せなければなるまい。両氏ともに有力な減反廃止論者としても知られている。
 (後半へ続く)

(2009.09.04)


食と農のあらゆる分野に
積極的に参入する総合商社(2)
 今回は、三井物産、住友商事、双日そして豊田通商の動向をみる。

◇川中・川下事業を強化する三井物産

 【三井物産】は、食品の川中・川下事業強化のため、セブン・アイ・ホールディング(セブンイレレブンとイトーヨーカ堂の持ち株会社)と包括業務提携を結んでおり、神糧物産や村瀬米穀との共同出資で「物産ライス」を設立、首都圏へのコメ販売に本腰を入れている。そして、三井物産戦略研究所は飼料用米の栽培試験に着手した。
 またグループの三井物産アグロビジネスは、新潟・秋田・宮城各県の農家と生産委託契約を結び、有機米や有機野菜の調達を拡大させている。
 また、子会社の日本配合飼料を通しての畜産インテグレーションでは、岩手県花巻市を中心に確固たる実績を築き、インターネットを利用した農業ビジネスのコンサルティング事業にも乗り出している。さらに農業を核とする地域活性化ビジネスを進めるために、プロジェクトチーム「ニューふぁーむ21」を組織し、農業に関心を抱く企業に生産地情報や参入ノウハウを提供している。

◇バイオエタノールに積極的な住友商事

 【住友商事】は純利益で三井物産を抜き、三菱商事に次ぐ業界2位に浮上している。住商はグループ企業を活用して産地から小売店まで一貫したコメの全国販売網を構築し、コメ小売の糧販、肥料販売の住商農産が銘柄米産地からコメを直接買い入れ、食品卸の住商食品を通じて食品スーパーのサミットやマミーマートなど系列量販店に納入している。
 また住商は、海外ではブラジルでサトウキビのバイオエタノール化に成功し、対日輸出を視野に積極的なスタンスだ。

◇外国産肉牛肥育の先駆者・双日

 日商岩井とニチメンの合併により発足した【双日ホールディングス】は、日商岩井以来の業績で農業面にも地歩を築き、約1000戸の契約農家を25の生産法人に組織化して、有機野菜の調達と販売を進め、サンクスなどの大手スーパーや生協、食品メーカーなどに販路を広げている。
 もともと日商畜産や曽田牧場の経営以来、肉牛肥育に実績を持ち、栃木県黒磯市でシャロレー牧場を経営、千葉県富津市のマザー牧場ではヘレフォード、長野県菅平のスエヒロ牧場ではアバディーンアンガスなど、外国産肉牛の飼育ではパイオニア的役割を果たしてきた。これらの牛肉は、東京・銀座スエヒロなど川下のレストランに供給している。

◇農業分野で100億円めざす豊田通商

 このところ脚光を浴びているのがトヨタグループの総合商社【豊田通商】の農業分野への本格参入である。
 宮城県栗原市で地元の生産者と農業生産法人ベジ・ドリーム栗原を立ち上げ、パプリカ(ピーマンの一種)を2010年度から年間830トン生産する計画だ。将来はトマトなどの生産にも取り組むことで、農業分野100億円の売り上げをめざす。

                    ×  ×  ×

 このように総合商社の農業への関与は、直接間接極めて多彩で、畜産に加え園芸分野へのインテグレーションにも積極的である。農家に対しては契約飼育、契約栽培の形をとり、概して低労賃の状況だが、農家の方は価格の乱高下で一喜一憂するよりも、チープレーバーの“小さな安定”を望む向きも少なくない。商社サイドにしても事業部ごとの採算確保は至上命令なので、“農業にもツバをつけておく”といった安易な姿勢ではない。概してJA全農と競合する局面が多く、総合商社の動向には目が離せない。
 商社に限らず、外食産業ならワタミ、サイゼリア、量販店でイオン、さらには鉄鋼のJFEグループなど、農外資本の農業参入は増大のトレンドにある。こうしたなか、JAグループはいかに対処すべきか。
 やはりJA独自の生産販売一貫体制をさらに強化し、特に、来る第25回JA全国大会議案に上程される「県域戦略」を機動化させることであり、JA独自の営農販売戦略に弾力性を加味し、商系に負けない求心力を強化すべきだと思う。群馬県のJA甘楽富岡のように共販3原則(無条件委託・平均売り・共同計算)を一部修正することも、商社の囲い込み攻勢をハネのける手法として検討されてよいだろう。
 同時に、商系資本にないもの、つまり、生き甲斐充足の生活文化活動やJA共済のメリットなど、多面的なJAの魅力をフルに発揮し、協同組合ならではの総合力を展開することだと考える。(完)
(関連記事 前半はこちらから)

(2009.09.15)
posted by グリーン at 22:05| 福岡 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする